疾患別リハビリテーションの通知ってとっても難しいですよね・・。
私もレセプトを作成するときに何度も通知を読み返しています。
標準的算定日数、1月13単位、要介護被保険者、減算対象患者、記載要領、等々・・
気を付けなければならないことがたくさんありますよね!
そこで、疾患別リハビリテーションを算定する際のポイントについてわかりやすくまとめてみました。
レセプトを作成される際や、返戻レセプトを再請求する際に活用していただければと思います。
1.疾患別リハビリテーションの種類、標準的算定日数
(1)医療保険と介護保険のリハビリの違い
医療保険では、急性期から回復期の重点的なリハビリが対象となります。
一方、介護保険では急性期、回復期後の維持期のリハビリテーションが対象となります。
この記事では、医療保険のリハビリテーションを解説しています。
が、要介護被保険者が医療保険のリハビリを受ける際の決まりもありますので、おさえておきましょう!
(2)疾患別リハビリテーションの種類
疾患別リハビリテーションは、6つあります。
心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料です。
(3)1日の上限単位数
一日6単位が上限となります。
ただし、別に厚生労働大臣が定める患者は一日9単位が上限です。
別に厚生労働大臣が定める患者とは?
・回復期リハビリテーション病棟入院料又は特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する患者
・脳血管実感等の患者のうち発症後六十日以内のもの
・入院中の患者であって、その入院する病棟等において早期歩行、ADLの自立等を目的として心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)又は呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定するもの
2.標準的算定日数とは?
それぞれのリハビリテーションに、標準的算定日数というものが定められています。
まずは、日数をまとめたいと思います。
心リハ | 脳リハ | 廃用リハ | 運動リハ | 呼吸器リハ |
150日 | 180日 | 120日 | 150日 | 90日 |
上記の標準的算定日数内は、1日上限6単位もしくは9単位まで疾患別リハビリテーション料が算定できます。
標準的算定日数を超えた場合は、1月に13単位限り疾患別リハビリテーション料を算定できます。
ただし、標準的算定日数を超えても1日上限6単位もしくは9単位算定できる場合があります。
標準的算定日数を超えても1日上限6単位、9単位算定できる患者とは??
①治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合
(「別表第九の八第一号」に掲げる患者であって、「別表第九の九第一号」に掲げる場合)
②患者の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合
(「別表第九の八第二号」に掲げる患者であって、「別表第九の九第二号」に掲げる場合)
標準的算定日数を超えて、1月に13単位以上疾患別リハビリテーション料を算定する場合は、
①の患者・・継続の理由の記載が必要
②の患者・・継続の理由の記載は不要 です。
「別表第九の八第一号、二号」「別表第九の九第一号、第二号」についてまとめてみます!
青色を付けている部分について、対象患者をまとめていきます!
疾患別リハビリテーションの算定方法を図解してみます!
要介護被保険者に対する疾患別リハビリテーション料の算定方法
要介護被保険者であっても、算定要件を満たせば医療保険の疾患別リハビリテーションを受けることができます。
ただし、保険請求をするうえでいくつかおさえておくべきポイントがあるのでまとめていきます。
要介護被保険者の場合の注意点
まず、要介護被保険者に対するリハビリテーションは大きく2つにわけることができます。
心リハ、呼吸器リハの算定方法は、要介護被保険者もその他の患者も算定方法が同じです。
しかし、脳リハ、廃用リハ、運動器リハは、要介護被保険者の場合算定方法が異なる場合があるので注意が必要です。
上の図に算定方法が異なる点をまとめましたが、1つずつ詳しく解説していきます。
入院患者で標準的算定日数を超えた場合
入院中の患者に対して標準的算定日数を超えて脳リハ、廃用リハ、運動器リハを行う場合は、1月に13単位まで算定できますが、固定点数が低くなります。
入院中の要介護被保険者であっても算定日数の除外対象患者は、標準的算定日数を超えた場合であっても通常の点数が算定できるところもポイントです!
わかりやすく図でまとめてみました!
下の図は、標準的算定日数の1/3を経過した後に引き続きリハビリが必要で、過去3か月以内に目標設定等支援管理料が算定されている場合です。(目標設定等支援管理料については後ほど説明します。)
外来患者で標準的算定日数を超えた場合
心大血管疾患リハ、呼吸器リハは要介護被保険者もそれ以外の患者も同じ算定方法となります。
脳リハ、廃用リハ、運動器リハは要介護被保険者の場合、標準的算定日数を超えると算定できなくなります。ただし、算定日数上限の除外対象患者は、標準的算定日数を超えても通常通り算定できます。
過去3か月以内に目標設定等支援・管理料を算定していない場合
要介護被保険者に対して、標準的算定日数の1/3を経過した後に引き続き脳リハ、廃用リハ、運動器リハを実施する場合に、過去3月以内に「目標設定等支援・管理料」を算定していない場合は、所定点数の90/100に相当点数を算定します。
言葉だけだとピンとこないので、図で表してします。
図では「脳血管疾患リハビリテーション料」を例に挙げていますが、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料も点数が異なるだけで考え方は同じです。
算定日数上限対象患者・算定日数上限除外患者ともに、標準的算定日数の1/3を経過した後に、引き続きリハビリテーションを実施する場合において、過去3か月以内に目標設定等支援・管理料を算定していない場合には所定点数の90/100に相当する点数を算定することになります。
目標設定等支援・管理料が算定されている場合は「入院患者で標準的算定日数を超えた場合」「外来患者で標準的算定日数を超えた場合」でまとめた算定方法になります。
目標設定等支援・管理料について
目標設定等支援・管理料に対して出ている疑義解釈などをまとめていきます。
Q.脳リハ、廃用リハ、運動器リハの通則で、「過去3月以内に目標設定等支援・管理料を算定していない場合90/100に相当する点数を算定する」とされていますが、「過去3月以内に算定していない場合」は具体的にどのような場合ですか?
A.リハビリテーション料を算定する月の前月を1月目と数えた上で、3月目の初日以降に目標設定等支援・管理料を算定していない場合が該当します。
例えば・・・
(例1)4月1日に脳リハを算定する場合
1月1日~4月1日
(例2)4月10日に脳リハを算定する場合
1月1日~4月10日
の期間に目標設定等支援・管理料が算定されていない場合は、90/100に相当する点数により算定します。
Q. (1)介護保険を申請後、認定通知が届くまでに標準的算定日数の1/3が経過した場合
(2)標準的算定日数の1/3を経過後に介護保険の申請を行った場青
上記の(1)(2)の場合、いつから目標設定等支援・管理料が算定できますか?
A.患者が要介護被保険者等である通知を受けるなど、その事実を知りえた日から速やかに目標
標設定等支援・管理料を算定することができます。
過去3月以内に目標設定等支援・管理料を算定していないことによる減算については、要介
護認定・要支援認定等結果通知書の通知日が属する月とその翌月に行ったリハビリについて
は適用されません。
リハビリの算定は複雑でレセプトを作成するときに悩むことが多いですが、この記事の事例を参考にしていただけると嬉しいです!
この記事でもまとめているのですが、以前、疾患別リハビリテーションの記載要領についてまとめた記事もありますので、よろしければご覧ください。
コメント
ぴあ様
突然の書き込み失礼します。
どこよりも詳しく書かれており、大変興味深く拝読させていただきました。ありがとうございます。
とある整形外科クリニックで主任をしております理学療法士です。院長はレセに関しては無知、医療事務は経験浅のパートのみで、レセについてもいろいろ求められて困っております。
ひとつお聞きしたことがあります。「運動器リハビリの150日超え」についてです。
弊院では、150日超えて患者さんのリハビリを実施することがあるのですが、すべて月13単位未満です。
こちらの記事で「別表第九の八第一号、二号」「別表第九の九第一号、第二号」について書かれておられますが、標準算定日を超えて月13単位以上であれば継続理由の記載が必要と書かれています。
ということは、弊院のように月13単位未満であれば、継続の理由の記載は不要でしょうか。
また150日超え、月13単位未満で実施する際に、なにか必要なことがあればご教授いただけないでしょうか。(どこかのサイトに書かれていたのですが、「継続することとなった日を診療録に記載する」「FIMの測定」など)は必要?)
お時間がございましたら、ご回答いただけると幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
お問い合わせありがとうございます!
記事を読んでいただいて大変うれしいです。
理学療法士さんなのに、レセプトのことまで勉強されていてすごいですね!
ご質問の回答なのですが、運動器リハで150日超えでも月13単位以内の算定であれば継続理由の記載は不要です。
標準的算定日数を超えて月13単位以上を算定する場合はレセプトにも診療録にも継続の理由などを記載する必要があります。
また何かありましたらコメントにご質問ください!
ぴあ様
お礼が遅くなり訳ございません。ご回答ありがとうございます。
150日超え、月13単位以内であれば継続理由の記載は不要なのですね。承知しました。
疑問点に的確かつ大変わかりやすくご解説いただき本当に助かりました。
今後も参考にさせていただきます。
失礼いたします。