ヘリコバクター・ピロリ感染検査を算定したレセプトが査定されたり返戻されることがありますよね・・。
私も「何が問題なの?」と考え込んでしまうことがあります。
そこで今回は、ヘリコバクター・ピロリ感染検査を算定する際の注意点についてまとめていきたいと思います!
対象となる患者
ヘリコバクター・ピロリ感染症の検査については、対象となる患者が限られています。
対象患者、病名の付け方のポイント、記載要領についてまとめていきます!
対象患者
対象患者
①内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者
②胃MALTリンパ腫の患者
③突発性血小板減少性紫斑病の患者
④早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者
⑤内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者
病名の付け方
☆傷病名のポイント☆
・「ヘリコバクター・ピロリ感染症の疑い」病名だけでは返戻,査定されてしまいます。
・対象患者であげた①~⑤の確定病名が必要です。
つまり・・・
対象患者の⑤に該当する場合は、傷病名欄に
・「胃炎」
・「胃炎」+「ヘリコバクター・ピロリ感染症(疑いも含む)」
いずれかの記載が必要になります!
検査を算定するうえで大切なのは、対象患者であげた①~⑤の確定病名なのです!
ヘリコバクター・ピロリ感染症(疑いも含む)の病名はあってもなくてもいいのです!
治療薬を投与する場合は「ヘリコバクター・ピロリ感染症」の確定病名が必要です。
病名もれの査定を防ぐために、私は「①~⑤の確定病名」+「ヘリコバクター・ピロリ感染症(疑いも含む)」でレセプトを作成するように統一しています。
記載要領
・対象患者の①、⑤においては、内視鏡検査等で確定診断した際の所見・結果を摘要欄に記載する。
・対象患者の①、⑤において健康診断として内視鏡検査を行った場合には、摘要欄にその旨を記載する。
こととなっています。
上記の内容は、システム用コードを利用して記録することになります。
システム用コード | レセプト表示文言 |
830100613 | 内視鏡検査等で確定診断した際の所見・結果:*** |
820100901 | 健康診断として内視鏡検査を実施 |
※システム用コードで記録をしないとレセプトが返戻される可能性があります!
除菌前の感染診断
ヘリコバクター・ピロリ感染症の検査の種類、検査の算定方法、記載要領についてまとめていきます。
検査の種類
ヘリコバクター・ピロリの検査は全部で7つあります。
①迅速ウレアーゼ検査
②鏡検法
③培養法
④抗体測定
⑤尿素呼気試験
⑥糞便中抗原測定
⑦核酸増幅法←R4.10.31に追加された「ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出」
検査の算定方法
上記の7項目の検査のうち1項目のみを算定することができます。
が、要件を満たせば2項目算定することもできます。
保険請求で認められている検査の2項目算定方法については大きく分けて以下の2パターンあります。
・1つの検査で陰性となった場合に追加で他の検査を実施する場合
・2つの検査を同時に実施する場合
パターン別に詳しく解説していきます
☆1つの検査で陰性となった場合に追加で他の検査を実施する場合☆
・①~⑥までの検査の結果、陰性だった患者に対して、異なる検査により再検査を実施した場合は、さらに1項目算定できます。
・⑦の検査の結果、陰性となった患者について、胃粘膜にヘリコバクター・ピロリ感染症特有の所見が認められているなど、感染が強く疑われる場合に、異なる検査法により再度検査を実施した場合は、さらに1項目算定できます。
※この場合は、医療上の必要性を摘要欄に記載することとなっております。
各々の検査法及び検査結果について記載が必要です。
例えば・・「迅速ウレアーゼ試験の結果陰性であったため、尿素呼気試験を追加したところ陽性だった」といったように簡単な記載で大丈夫です!
☆2つの検査を同時に実施する場合☆
①+②
④+⑤
④+⑥
⑤+⑥
を同時に実施した場合は、初回実施に限り併算定ができます。
つまり・・
1回目の検査結果が陰性で、追加で検査をする場合は他の検査であればどれでも算定可能ですが、
同時に2つの検査を行う場合は、組み合わせが決まっているということです!
検査の留意事項
ヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤(PPI製剤)が投与されている場合は、検査結果が偽陰性となるおそれがあるため、投薬の中止、終了から2週間以上経過していることが必要です。
中止を指示している場合は、摘要欄に「検査前2週間はPPI製剤は休薬しています」などのコメントがないと検査が査定されてしまいます。
PPI製剤を服用している者には、「薬剤の投与中止又は終了年月日を記載すること。」となっていますので、忘れずに記録しましょう!
ただし、「④抗体測定」はPPI製剤の休薬期間がなくても検査を実施することができます。
こちらの通知(厚生省のホームページにリンク)の(問5)に詳しく書いてありますのでご覧ください!
検査で陽性が確認されると除菌薬で治療します。除菌薬を処方する際は「ヘリコバクター・ピロリ感染症」の確定病名が必要です!
病名もれに気を付けましょう!
除菌後の感染診断
算定できる検査の種類は、除菌前の感染診断と同じ7項目です。
除菌後の検査は、除菌終了後4週間経過後、実施することができます!
除菌後の感染検査を算定するときは、摘要欄に「除菌終了年月日」を記載しなければいけません。
「④抗体測定」を実施する場合は、除菌終了後6か月以上経過した場合に算定できますが、除菌前の抗体測定結果と定量的な比較ができる場合に算定できます。
この場合、「除菌前と除菌後の抗体測定年月日と測定結果」を摘要欄に記載しなければいけません。
除菌後の感染診断で「抗体測定」を行うときは、除菌前の感染診断でも「抗体測定」を行っていなければいけません!!
検査算定方法は、除菌前の取扱いとほぼ同じです!
除菌前の感染診断の算定方法と異なる点
同時に2つの検査を実施した場合は、④+⑤、④+⑥、⑤+⑥の組み合わせであれば検査2項目の算定が認められます。
※除菌前の感染診断では、上記の組み合わせに加えて①+②の組み合わせも算定できましたね!
除菌後の感染診断の結果、陽性であった場合は、再除菌としてさらに1回に限り再除菌に係る費用が保険請求できます。
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