【これを読めば解決】在宅自己注射指導管理料の保険請求について

在宅

  在宅自己注射指導管理料を算定する医療機関も多いのではないでしょうか?

算定は簡単なようで意外と複雑・・・。

査定になったり、返戻になったり、支払基金や国保連から問い合わせがあることもあります。

今回は算定のポイント、注意点をまとめていきたいと思います。

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点数設定

C101 在宅自己注射指導管理料
1.複雑な場合 1,230点
2.1以外の場合 
 イ 月27回以下の場合 650点
 ロ 月28回以上の場合 750点

1.複雑な場合とは?

 間歇シリンジポンプを用いて在宅自己注射を行っている者に対して、ポンプの状態、投与量を確認・調整した場合に算定できます。
プログラム変更に係る費用は所定点数に含まれます。

2.1以外の場合の算定方法

 当該月に在宅で実施するよう指示した注射の総回数に応じて「イ」「ロ」のどちらかを選択します。ここでポイントがあります!

月の途中で入院する場合

回数選択時のポイント

・月の途中で予期せぬ入院等があり、指示した回数が在宅で実施されなかった場合
当初指示した回数をもとに算定する。

・予定入院等などで在宅で実施できない期間が明らかな場合
予定入院などの期間は指示回数から除して算定する。

週に1回、月に1回などの投与となる注射薬を支給する場合

 トルリシティ皮下注等、週に1回自己注射を行う薬剤を投与した場合は、月に4回自己注射をすることになるため「イ 月27回以下の場合」を算定することになります。

 トルリシティとインスリン製剤等を投与する場合などで注意点があります!

同じ月に両方の注射薬を渡す場合は特に気を付けることはないのですが・・・

インスリンは前月以前分の残薬があるので、トルリシティのみを投与したときは注意点があります。

レセプト上、その月はトルリシティのみが上がってきます。

残薬とトルリシティで月の指導回数は「28回以上」になりますが、その月のレセプトの投薬内容を見ると「月27回以下」となります・・・。

このようなときは必ず、レセプトの摘要欄に「インスリンの残薬あり」等のコメントを入れましょう!

このコメントで、査定、返戻を防ぐことができます!

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いつから算定できる?

 在宅自己注射指導管理料の通知に「入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療による十分な教育期間をとり、十分な指導を行った場合に限り算定する。」という文言があります。

初回の指導日には管理料は算定できません。最短でも2回目の指導日から管理料の算定ができます。

 このことから、初診料を算定している日に在宅自己注射指導管理料を算定すると返戻、査定されてしまいます。ここで算定時のポイントがあります!

ポイント

・転医してきた患者が、前の医療機関で在宅自己注射の指導が済んでいる場合

既に指導がされているため、初診料算定時に在宅自己注射指導管理料を算定することになります。

この場合は、レセプトの摘要欄に「前医にて在宅自己注射の指導済」等を記載することで、返戻、査定を防ぐことができます。

 アドレナリン製剤については、初診時でも在宅自己注射指導管理料が算定できます。

教育期間中の算定方法

教育期間中に使用した注射薬は、提供の仕方に合わせて請求することができます。
外来、入院で行った場合は注射の項で、
在宅で行った場合は在宅の項で請求できます。

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在宅で使用できる注射薬剤

 在宅自己注射指導管理料で使用できる注射薬剤は限られています。

在宅自己注射指導管理料で使用できる注射薬剤は以下の通りです。

別表第九 在宅自己注射指導管理料、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬

インスリン製剤
性腺刺激ホルモン製剤
ヒト成長ホルモン剤
遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤
遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤
遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤
乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤
乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤
性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤
ソマトスタチンアナログ
ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体
グルカゴン製剤
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト
ヒトソマトメジンC製剤
インターフェロンアルファ製剤
インターフェロンベータ製剤
エタネルセプト製剤
ペグビソマント製剤
スマトリプタン製剤
グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩配合剤
アダリムマブ製剤
テリパラチド製剤
アドレナリン製剤
ヘパリンカルシウム製剤
アポモルヒネ塩酸塩製剤
セルトリズマブぺゴル製剤
トシリズマブ製剤
メトレレプチン製剤
アバタセプト製剤
pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤
アスホターゼ アルファ製剤
グラチラマー酢酸塩製剤
セクキヌマブ製剤
エボロクマブ製剤
ブロダルマブ製剤
アリロクマブ製剤
べリムマブ製剤
イキセキズマブ製剤
ゴリムマブ製剤
エミシズマブ製剤
イカチバント製剤
セリルマブ製剤
デュピルマブ製剤
インスリン・グルカゴン様ペプチドー1受容体アゴニスト配合剤
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤
遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤
ブロスマブ製剤
メポリズマブ製剤
オマリズマブ製剤
テデュグルチド製剤
サトラリズマブ製剤
ガルカネズマブ製剤
オファツムマブ製剤
ボソリチド製剤
エレヌマブ製剤
アバロパラチド酢酸塩製剤
カプラシズマブ製剤
乾燥濃縮人C1-インアクチベーター製剤
フレマネズマブ製剤
メトトレキサート製剤
チルゼパチド製剤

導入初期加算について

  初回の指導を行った月から起算して3月の期間に指導管理を行った場合は、3月を限度として導入初期加算(580点)を月に1回算定することができます(対面診療に限る)

処方内容に変更があった場合は、さらに1回に限り算定することができます。

ここで2つポイントがあります!

★導入初期加算を算定している3か月の間に薬剤を変更した場合は、4か月間算定できるの?
→→3か月間のみ算定できます。

★医療機関を変更した場合、起算日はリセットされる?
→→変更前の医療機関から通算して取り扱います。

参考:平成26年度疑義解釈その2(問45)、その3(問19)
厚生労働省のHPにリンクしています。

処方内容に変更があった場合とは?

 導入初期加算に規定されてる「処方内容に変更があった場合」の解釈が算定時のポイントになります。

「処方内容に変更があった場合」とは、在宅で使用できる注射薬剤(別表第九)であげた注射薬に変更があった場合とされています。

つまり・・薬剤名に変更があったとしても、インスリン製剤からインスリン製剤への変更の場合は、処方内容に変更があった場合には該当しません。
インスリン製剤からGLP-1受容体作動薬に変更があった場合は、処方内容に変更があった場合に該当します。

 バイオ後発医薬品から先行バイオ医薬品が同一であるバイオ後発品に変更した場合も導入初期加算は算定できません。

 過去1年内に処方された薬に変更した場合も、導入初期加算は算定できません。

バイオ後続品導入初期加算について

 バイオ後続品の有効性、安全性等を説明したうえでバイオ後続品を処方した場合に、

バイオ後続品の初回処方日の属する月から起算して、3月に限り、月に1回算定できます(対面診療に限る)

「バイオ後続品を処方した場合」とは??

・バイオ後続品の一般名で処方した場合
・バイオ後続品の販売名で処方した場合

を指します。

バイオ後続品とは?

 バイオ後続品とは、先行バイオ医薬品と同等・同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者によって開発された医薬品のことです。

一般名称

 先行バイオ医薬品、バイオ後続品の一般名称には規則性があります。

先行バイオ医薬品は、
一般名称に「(遺伝子組換え)」がつけられています。

バイオ後続品の一般名は、先行バイオ医薬品の一般名に「後続1,2,3・・」がついています。
バイオ後続品の販売名は原則、先行バイオ医薬品の一般名から「(遺伝子組換え)」等を省略し、BSと記載したものに、剤形、含量、会社名(屋号等)がついています。

ヒュミラを例として一般名を比べてみます!

先行バイオ医薬品の販売名「ヒュミラ」
一般名→アダリムマブ(遺伝子組換え)

バイオ後続品の一般名→アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続1]
バイオ後続品の販売名→アダリムマブBS皮下注「FKB」

バイオ後続品一覧

疑義解釈

 バイオ後続品導入初期加算の疑義解釈をまとめました!

Q.従前からバイオ後続品を使用している患者に、先行バイオ医薬品が同一である別のバイオ後続品に変更した場合、当該加算は算定可能か?
A.算定不可

Q.従前からバイオ後続品を使用している患者について、先行バイオ医薬品が異なるバイオ後続品を新たに使用した場合、当該加算は算定可能か?
A.算定可

Q.入院中にバイオ後続品を初めて使用した患者であって、退院後もバイオ後続品を使用したものについても算定可能か?
A.初回月にバイオ後続品導入初期加算を算定していない者についても、2月目以降に要件を満たす場合は算定可。ただし、初回の使用日の属する月から起算して3月を限度として算定する。

Q.初回処方日から3月以内に転医し、転医先で同一のバイオ後続品を処方した場合に、当該加算は算定可能か?
A.算定不可

参考:R4.3.31厚労省疑義解釈資料(その1)R4.4.11厚労省疑義解釈(その3)
   厚生省のホームページにリンクしています。

外来受診時の注射手技料

 在宅自己注射指導管理料を算定している患者の外来受診時には、当該管理料に係る「皮内・皮下及び筋肉内注射」「静脈内注射」の費用及び注射薬の費用は算定できないこととなっています。

在宅自己注射指導管理料に関連しない薬剤の場合は、注射手技料、注射薬の費用を算定可能です。

緊急時に受診し在宅自己注射指導管理に係る注射薬を投与した場合は、注射手技料、注射薬の費用を算定することができます。
この場合、摘要欄に「緊急である旨」の記載が必要です。

他の管理料等との併算定の可否

 在宅自己注射指導管理料を算定している患者は、当該医療機関で在宅患者訪問診療料を算定する日に行った「皮内、皮下及び筋肉内注射」「静脈内注射」「点滴注射」の費用(薬剤及び医療材料に係る費用を含む)は算定できません。

 外来腫瘍化学療法診療料、外来化学療法加算を算定している患者の外来受診時に、当該加算に係る注射薬を用いて自己注射に関する指導を行った場合は、在宅自己注射指導管理料は算定できません。

外来腫瘍化学療法診療料等と関連のない傷病に対して自己注射の管理を行う場合は、在宅自己注射指導管理料が算定できます。

 在宅自己注射指導管理料と難病外来指導管理料との併算定は可能です。

他医療機関でも在宅自己注射指導管理料を算定している場合

 他の医療機関でも在宅自己注射指導管理料を算定している場合に気を付けるポイントをまとめていきます!

別疾患に対して管理を行っている場合

在宅医療の通則に

 2以上の保険医療機関が同一の患者について同一の在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行っている場合には、特に規定する場合を除き、主たる指導管理を行っている保険医療機関において当該在宅療養指導管理料を算定する。

とあります。が・・・

在宅自己注射指導管理料においては、2以上の医療機関が異なった疾患に対して指導管理を行った場合には、どちらの医療機関でも管理料を算定することができます。

同じ疾患に対して2つの医療機関で指導管理をしている場合は、主たる管理を行っている医療機関のみで算定します。

他医療機関で退院時に管理料を算定している場合

 他医療機関で退院時に在宅自己注射指導管理料を算定している場合、退院後に受診した医療機関でも同じ月に管理料を算定することができます。

その場合、退院後に受診した医療機関はレセプトの摘要欄に「当該算定理由」を記載することとなっております。

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